お知らせ

学校長メッセージ(その2)

掲載日:2020年05月15日 |ニュース ,学校長メッセージ ,お知らせ

生徒の皆さんへ

少し辛抱、長い辛抱

 休校になってついに2ヵ月以上も経ってしまいました。通常の夏休みより長い期間です。きっと、いろいろなことに遅れを感じ、不安ばかりが増しているのではないかと思います。
 前回のつづきになりますが、皆さんは、そのような中で自分をみつめ、今、するべきことに気づくことができたでしょうか。なんとなく一日を過ごし「ああ、もう夕食かぁ…」、あるいは夜明けに寝て昼起きる、というような生活から抜け出すことができたでしょうか。
 新型コロナウィルスの感染は、悲しいことに依然亡くなられる方もいますが、少しずつ減少し始めているようです。しかし緊急事態宣言下、様々な問題が出てきました。失業もしくは失業のおそれのある人たちの増加、収入が大幅に減ったことに対する補償や対応の問題、 感染者の把握や治療は充分に行えるのか? 外出自粛やマスク着用はしっかり守られているのだろうか、いつまで続けなければいけないのか? 感染者への世の中の対応は適切だろうか? 皆さんに直接かかわる学校再開についての見通しは? えっ、9月入学・始業? これらは個人の問題でもあり、国家や人類の問題でもあります。簡単に解決できることではありません。全国の緊急事態宣言はじきに解除されるかもしれません。だからといってすぐに以前と同じ生活ができるわけではありません。そこには依然としてウィルスが潜み、毒をまき散らしひそかに問題を浮かび上がらせているのです。もう少し辛抱すれば少しだけ以前の生活に戻すことはできます。しかしその後も長く辛抱していかなければならないことも間違いありません。「パンデミック」とはそういうことなのです。年単位の長期にわたり人類は感染症とともに過ごさなければならないということ。そして世界には多くの問題が残ったまま。その解決に向けて人々が懸命に努力しつづける日々。
 さて、もし皆さんがすでに自分のできること、やるべきことを見つけたなら、次はもっと視野を広げて、この感染症が日本や世界にもたらしたことやそこから発生した問題について考えてみてください。高校生の皆さんには難しいことも多いと思いますが、例えば検査や治療をめぐる体制はどうなっているのか、どうあるべきか、他の国の感染症対策は? 失業した人たちの救済は? 営業できない店、どうすればいいんだ、9月入学制度ってどうなの等々、今までほとんど考えたこともないようなことが新型コロナウィルスによって明らかになり、もしかしたら皆さんの身近なところで切実な問題となって現れているかもしれません。今まで水面下にあったことがこういう時だからこそ現れてくるのです。そこに現れた社会問題について少しずつ、興味のある事からでいいので考えてみてください。家で静かにがまんして過ごさなければならないこの期間に、長い時間をかけて。その長い思考の過程で社会とその問題について深く知り、これからの社会のあるべき形を考えるようになり、そこで生きる未来の自分の姿、進むべき道が見えてくるかもしれません。
 学校のある山梨県など多くの県で自粛の段階的な解除が進んでいくことになりますが、特別警戒の必要な都道府県ではまだ緊急事態が続いています。私たちはもう少し辛抱して、絶対に気を抜かず感染予防に努める必要があります。そして、その後もウィルス感染の可能性がなくなるわけではありません。長い長い辛抱が求められることになります。生徒の皆さんも引きつづき感染予防を怠りなく過ごして下さい。
 もう少し辛抱、そしてまた長い辛抱。では、学校再開の日まで。

令和2年5月15日
校長 杉浦 彰彦